外国人労働者も転職する時代へ――育成就労制度で企業に求められること

query_builder 2026/09/23

「せっかく仕事を教えた外国人従業員が、別の会社へ移ってしまうのではないか」

外国人材を雇用している経営者から、これから増えそうなご相談です。2027年4月に始まる育成就労制度では、一定の要件を満たせば、本人の希望による転籍が認められます。

ただし、制度開始と同時に誰でも自由に転職できるわけではありません。現在の技能実習生が一斉に新制度へ切り替わるわけでもありません。まずは、制度ごとの違いを押さえておきましょう。


育成就労では、本人の希望による転籍が可能に

従来の技能実習制度では、実習先の変更は原則として認められず、やむを得ない事情がある場合などに限られていました。

育成就労制度では、こうした場合に加え、本人の希望による転籍が一定の要件の下で認められます。転籍までに必要な就労期間は分野ごとに定められ、原則として1年以上2年以下です。転籍先で従事できる仕事も、同じ業務区分内に限られます。日本語能力など、本人や受入れ企業が満たすべき要件もあります。

つまり、「採用して1年たてば、どこへでも自由に転職できる」という理解は正確ではありません。一方で、制度上、外国人従業員が勤務先を選び直せる場面は広がります。

なお、特定技能では現在も転職が可能です。受入れ企業を変更する際には、在留資格に関する申請など、必要な手続を確認しなければなりません。


「採用できるか」だけでなく「働き続けたい会社か」

外国人材の受入れを考えるとき、在留資格、採用ルート、監理団体や登録支援機関の選び方に目が向きがちです。もちろん、どれも大切です。しかし、採用できた後に働き続けてもらえるかは、会社の日々の雇用管理にかかっています。

例えば、求人時に聞いていた給与や休日と実際の条件に違いはないでしょうか。残業代の計算や昇給の基準を、本人が理解できるように説明しているでしょうか。仕事を覚えた後、次にどのような役割を担えるのか、伝えているでしょうか。

外国人従業員だけに特別な待遇を設けるという話ではありません。給与、評価、育成、相談の仕組みを、従業員に説明できる状態にすることが大切です。それは日本人従業員の定着にもつながります。


経営者が今から確認したいこと

まず、現在の外国人従業員について、在留資格と担当業務、労働条件を確認しましょう。そのうえで、次の点を見直してみてください。

  • 労働条件通知書の内容と実際の働き方が一致しているか
  • 給与や手当、昇給の基準を説明できるか
  • 教育担当者任せにせず、習得した技能を確認しているか
  • 仕事や生活上の困りごとを相談できる相手がいるか
  • 次の役割や、特定技能への移行を見据えた育成方針があるか

住まいや生活の支援も大切ですが、それだけで定着が決まるわけではありません。「この会社で技術を身につけたい」「頑張りを見てもらえる」と感じられる職場をつくることが、長く働いてもらうための土台になります。

私は人材サービスの仕事を通じ、外国人材の採用だけでなく、住まい、送迎、生活面の支援にも関わってきました。現在は社労士として、企業の外国人雇用に関する相談を受けています。その経験からも、受入れの手続と、入社後の労務管理は一緒に考える必要があると感じています。

育成就労制度の開始を、単に「転籍されるリスクが増える」と捉えるだけではもったいないと思います。外国人材にも選ばれる会社を目指して、採用から育成、評価までを見直す機会にしてみませんか。

サワベ社労士事務所では、外国人材を雇用する企業の労働条件や人事労務体制づくりについて、ご相談をお受けしています。


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株式会社エルシード

住所:静岡県藤枝市藤枝4丁目2−2

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